■ はじめに
肩こり・腰痛・膝の痛みに対して
湿布を使用する方は非常に多くいらっしゃいます。
市販のロキソプロフェン貼付剤や
ジクロフェナクナトリウム製剤、
または医療機関で処方される
モーラステープなど、
症状に応じた選択肢は広がっています。
適切に使用すれば、日常の痛みを軽減する
有効な手段の一つです。
ただし、湿布の作用機序を正しく理解した上で
使うことが重要です。
■ 湿布(貼付型NSAIDs)の作用機序
湿布に含まれる主な成分は
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)です。
皮膚から吸収された成分が
シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害し、
炎症性プロスタグランジンの産生を抑制することで
鎮痛・抗炎症作用を発揮します。
あくまで「炎症を抑える」機序であり、
筋肉の血流を改善したり、
筋緊張を直接緩和する薬理作用は
持ちません。
■ 筋肉の硬さの病態と湿布の限界
筋肉の硬さ・こわばりの主な病態は、
持続的な筋収縮による局所の血流障害と
老廃物(乳酸等)の蓄積です。
湿布は炎症による痛みの信号を抑える作用は
ありますが、血流障害そのものを
改善する機序は持ちません。
そのため、湿布で症状が和らいでも
根本的な筋緊張・血流障害が残存し、
再発を繰り返すパターンが
臨床現場でも多く見られます。
■ 生活習慣の介入ポイント
湿布と並行して取り入れてほしいのが、
入浴による温熱療法です。
【湯船に浸かる】
38〜40℃のぬるめのお湯に
10〜15分浸かることで、
末梢血管が拡張し筋肉への
血流が促進されます。
筋緊張の緩和と老廃物の排出が
同時に促されます。
シャワーのみの生活が続いている場合、
湯船への入浴を週数回取り入れるだけでも
筋肉の状態が変わってきます。
加えて、長時間の同一姿勢を避けること、
こまめなストレッチによる
筋ポンプ作用の促進も
有効な生活習慣の介入として挙げられます。
■ まとめ
湿布は筋肉の痛み・炎症を和らげる
有効な選択肢の一つです。
ただし、薬の作用は炎症の抑制にとどまります。
筋緊張・血流障害という病態への介入は、
生活習慣の改善と組み合わせて
初めて完結します。
湿布で炎症を抑えながら、
入浴で血流を整えること。
それが、繰り返す痛みを変える
現実的なアプローチです。
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北川 俊一(薬剤師 / スポーツファーマシスト)
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