2026/03/30

汗腺機能と熱中症予防—— 夏前に始める体温調節トレーニング

■ はじめに

毎年夏になると
熱中症による救急搬送が急増します。
高齢者・基礎疾患のある方はもちろん、
健康な方でも発症リスクがあります。

熱中症予防として水分補給・塩分補給は
広く知られていますが、
見落とされがちな重要な要素があります。

それが汗腺機能の維持・強化です。

夏が来る前のこの時期から
汗腺を鍛えておくことが
熱中症予防の重要な柱となります。

■ 汗腺の生理的役割と廃用性低下

人体の体温調節において
発汗は最も重要なメカニズムの一つです。

汗が皮膚表面で蒸発する際の気化熱により
体表から熱が放散されます。
この仕組みが正常に機能することで
深部体温の上昇が抑制されます。

汗腺(エクリン腺)は全身に約200〜400万個
存在しますが、
使用頻度が低下すると機能が低下する
「廃用性変化」が起こります。

冬から春にかけて発汗機会が少ない時期が続くと
汗腺の分泌機能が一時的に低下します。
その状態で急激な気温上昇を迎えると
体温調節機能が追いつかず
熱中症リスクが上昇します。

「毎年夏の初めに体調を崩しやすい」
という方の中には
この汗腺機能の季節的低下が
関与しているケースがあります。

■ 汗腺機能低下がもたらすリスク

発汗機能が低下した状態では
以下のリスクが上昇します。

・深部体温の上昇
→ 体内に熱がこもりやすくなる
・熱中症(熱疲労・熱射病)の発症リスク上昇
→ 体温調節機能の破綻
・循環器系への負担増加
→ 心拍数の上昇・血圧変動

特に高齢者は加齢により
汗腺機能が低下していることが多く、
夏前からの準備が一層重要です。

■ 汗腺機能を維持・強化する生活習慣

汗腺を鍛えるために
激しい運動は必要ありません。
じんわりと汗をかく習慣を
継続的に積み重ねることが重要です。

【暖かい時間帯のウォーキング】
日中の暖かい時間帯に
15〜20分程度のウォーキングを行います。
軽く汗ばむ程度の強度で十分です。
週3〜4回継続することで
汗腺への適度な刺激が維持されます。

【半身浴・入浴時間の確保】
38〜40℃のぬるめのお湯に
10〜15分浸かることで
体温が上昇し発汗が促されます。
シャワーのみの生活が続いている場合は
週数回の入浴習慣を取り入れることを
推奨します。

これらの習慣を
夏本番の1〜2ヶ月前から
継続することが効果的です。

■ まとめ

熱中症予防において
水分・塩分補給と並んで重要なのが
汗腺機能の維持・強化です。

汗腺は使わないと機能が低下し、
急激な暑さへの対応が
難しくなります。

夏が来る前の今から
ウォーキングと入浴習慣を取り入れること。
それが、熱中症リスクを下げる
現実的なアプローチです。

熱中症予防・体温調節に関して
ご不明な点がある方は
お気軽にご相談ください。

───
北川 俊一(薬剤師 / スポーツファーマシスト)
Well Lab — well-lab-kitagawa.net

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