■ はじめに
口内炎(アフタ性口内炎)は
日常的に経験される口腔粘膜疾患の一つです。
市販のケナログ・トリアムシノロン含有製剤や
アズレン含有うがい薬、
または医療機関で処方される
副腎皮質ステロイド含有口腔用軟膏など、
症状に応じた選択肢が存在します。
適切に使用することで
炎症・疼痛を軽減し
日常生活の質を保つ有効な手段です。
ただし、口内炎の誘発因子を正しく把握した上で
栄養療法と組み合わせることが重要です。
■ 口内炎治療薬の作用機序
副腎皮質ステロイド含有製剤は
患部への局所的な抗炎症作用により
炎症性サイトカインの産生を抑制し
疼痛・腫脹を軽減します。
アズレン含有製剤は
抗炎症・組織修復促進作用により
粘膜の回復をサポートします。
いずれも「局所の炎症を抑える」
機序であり、
ビタミンB群を補給したり
口腔粘膜の細胞再生を
直接促進する薬理作用は持ちません。
■ 口内炎の病態とビタミンB群の関係
アフタ性口内炎の誘発因子は多岐にわたりますが、
栄養学的要因として
ビタミンB2(リボフラビン)・
B6(ピリドキシン)の不足が
深く関与しています。
ビタミンB2は口腔粘膜・皮膚の
細胞再生に不可欠な補酵素として機能します。
ビタミンB6はタンパク質代謝に関与し
粘膜組織の修復・維持を担います。
疲労・睡眠不足・偏食が続くと
これらのビタミンの消費量が増加し
相対的な不足状態が生じます。
その結果、口腔粘膜の再生速度が低下し
口内炎が形成・遷延しやすくなります。
「疲れると口内炎ができる」という
臨床的によく見られるパターンは
この機序で説明できます。
治療薬で局所の炎症を抑えても
ビタミンB群の不足が継続する限り
再発を繰り返すパターンが
多く見られます。
■ 生活習慣の介入ポイント
口内炎治療薬と並行して
取り入れてほしいのが
ビタミンB群の食事からの補給です。
【卵を一日一つ摂取する】
卵はビタミンB2・B6を
バランスよく含む優れた食品です。
調理法を問わず手軽に摂取でき、
消化吸収にも優れています。
ビタミンB群を多く含む
その他の食品としては
以下が挙げられます。
・ビタミンB2:
レバー・納豆・乳製品・緑黄色野菜
・ビタミンB6:
鶏肉・マグロ・バナナ・さつまいも
食事全体を変える必要はありません。
今日の食事に卵を一つ足すだけで
ビタミンB群の摂取量は
確実に増加します。
加えて、睡眠の確保・
過度なストレスの軽減も
口内炎の再発予防に
有効な介入として挙げられます。
口内炎が月に複数回繰り返す場合は
鉄欠乏性貧血・亜鉛不足・
免疫疾患との関連も考えられるため
医療機関への受診を推奨します。
■ まとめ
口内炎治療薬は局所の炎症・疼痛を
和らげる有効な選択肢の一つです。
ただし、薬の作用は局所の
炎症抑制にとどまります。
ビタミンB群不足という根本的な
誘発因子への介入は、
食事の改善と組み合わせて
初めて完結します。
薬で炎症を抑えながら、
食事で粘膜の材料を届けること。
それが、口内炎を繰り返さない
現実的なアプローチです。
口内炎が繰り返す方、
栄養面でご不安がある方は
お気軽にご相談ください。
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北川 俊一(薬剤師 / スポーツファーマシスト)
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