外用消炎鎮痛薬と姿勢——
薬の役割と、肩の痛みを繰り返さない習慣
■ はじめに
肩の痛み・肩こりに対して
外用消炎鎮痛薬(ロキソプロフェン・
ジクロフェナク含有ゲル・クリーム等)を
使用されている方は
非常に多くいらっしゃいます。
適切に使用することで
局所の炎症・疼痛を緩和する
有効な手段の一つです。
ただし、繰り返す肩の痛みには
外用薬だけでは届かない
姿勢・動作パターンという
要因が深く関与しています。
■ 外用消炎鎮痛薬の作用機序
ロキソプロフェン・ジクロフェナクなどの
NSAIDs含有外用薬は
皮膚から吸収され
患部でCOXを阻害します。
炎症性プロスタグランジンの
産生を抑制することで
鎮痛・抗炎症作用を発揮します。
あくまで「局所の炎症を抑える」
機序であり、
姿勢のクセを修正したり
肩甲骨の可動性を
改善する薬理作用は
持ちません。
■ 慢性的な肩の痛みの病態
慢性的な肩こり・肩の痛みの
主要な原因の一つが
不良姿勢による
肩甲骨周囲筋の
慢性的な筋緊張です。
デスクワーク・スマートフォン使用による
前傾姿勢が続くと
肩甲骨が外転・前傾した状態で
固定されやすくなります。
この状態では
僧帽筋・菱形筋・肩甲挙筋などが
持続的に伸張・緊張し
局所の血流障害と
発痛物質の蓄積が生じます。
また肩甲骨の可動性が低下すると
肩関節への負担が増大し
インピンジメント症候群など
肩関節障害のリスクも
上昇します。
外用薬で局所の炎症を抑えても
不良姿勢・肩甲骨の
可動性低下が継続する限り
痛みが繰り返されるパターンが
臨床現場でも多く見られます。
■ 生活習慣の介入ポイント
外用薬と並行して
取り入れてほしいのが
肩甲骨の可動性改善です。
【肩の後方回旋運動】
肩を耳に向かって引き上げ(挙上)、
後方に大きく回して(後方回旋)、
脱力して落とす。
この動作により
僧帽筋・菱形筋・
前鋸筋が協調的に収縮し
肩甲骨の可動性が改善されます。
同時に筋ポンプ作用により
局所の血流が促進され
発痛物質の排出が
促されます。
1セット10回・
座位でも実施可能なため
デスクワークの合間・
就寝前など
日常生活に取り入れやすい
介入です。
加えて以下の介入も推奨されます。
・PC・スマートフォン使用時の
画面高さ調整
(頸部前傾姿勢の軽減)
・30分ごとの姿勢リセット
・胸椎伸展ストレッチ
(丸まった背中を
定期的に伸ばす)
■ まとめ
外用消炎鎮痛薬は
肩の炎症・疼痛を和らげる
有効な選択肢の一つです。
ただし、薬の作用は
局所の炎症抑制にとどまります。
不良姿勢・肩甲骨の可動性低下という
根本的な要因への介入は、
運動習慣の改善と組み合わせて
初めて完結します。
薬で炎症を抑えながら、
肩甲骨を動かして
血流と可動性を取り戻すこと。
それが、肩の痛みを繰り返さない
現実的なアプローチです。
肩の痛みでお悩みの方、
服薬についてご不明な点がある方は
お気軽にご相談ください。
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北川 俊一(薬剤師 / スポーツファーマシスト)
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