暑熱順化と熱中症予防——
春から始める体温調節機能の準備
悩み:真夏でもないのに体がだるい・熱中症が心配
新年度が始まり
過ごしやすい季節になりました。
しかしこの時期
「なんとなくだるい」
「少し動いただけで
頭がくらっとする」
という訴えが薬局でも
増えてきます。
真夏ではないため
熱中症を疑わない方が
ほとんどですが
体は既に暑さの影響を
受け始めています。
この時期から
暑熱順化を意識した
生活習慣の準備を始めることが
熱中症予防において重要です。
現場と自分の経験から
薬局での服薬指導の場面で
毎年この時期になると
増えてくる相談があります。
「最近なんかだるくて」
「頭痛が続いている」
詳しく聞くと
水分摂取が不足していて
最近汗をほとんど
かいていないケースが多い。
真夏でないため
熱中症との関連に
気づいていない方がほとんどです。
競技ボディビルに
取り組む中でも
体温管理・発汗機能の
季節的な変化を
実感しています。
冬から春にかけて
意識的に汗をかく機会を
設けておかないと
暑い時期に入ったときに
体がついてこない。
暑熱順化の準備は
アスリートだけでなく
すべての方に必要です。
暑熱順化の生理学的メカニズム
暑熱順化とは
反復的な暑熱曝露により
体温調節機能が
適応・改善していく
生理的プロセスです。
暑熱順化により
以下の生理的変化が生じます。
・発汗開始体温の低下
→ より早く発汗が始まるようになる
・最大発汗量の増加
→ 体温上昇を効率よく抑制できる
・汗の電解質濃度の低下
→ ナトリウムの再吸収が促進され
ミネラルの無駄な喪失が減少
・循環血液量の増加
→ 心拍出量が安定し
体温調節の効率が向上
・深部体温の上昇抑制
→ 同じ作業でも
体温が上がりにくくなる
これらの適応が
完成するまでに
約10〜14日の
継続的な暑熱曝露が
必要とされています。
なぜ春先が危険なのか
熱中症による救急搬送数は
真夏(8月)だけでなく
6月・7月初旬に
急増する傾向があります。
気温が急激に上昇した日や
梅雨入り直後に
多く発生しているのは
体が暑熱順化を
完了していない状態で
急な暑さにさらされるためです。
冬を経た体は
前年の暑熱順化が
リセットされています。
毎年この時期から
意識的に準備を始めることが
重要な理由です。
特に高齢者・基礎疾患のある方・
降圧薬・利尿薬服用中の方は
体温調節機能が
低下しやすいため
早めの暑熱順化が
推奨されます。
生活習慣の介入ポイント
今この時期から
取り入れてほしい
暑熱順化のための習慣です。
暖かい時間帯のウォーキング
日中の暖かい時間帯に
15〜20分のウォーキングを行います。
じんわり汗ばむ程度の
強度で十分です。
週3〜4回を2週間継続することで
暑熱順化が進みます。
入浴習慣の確保
38〜40℃の湯船に
10〜15分浸かることで
体温が上昇し発汗が促されます。
シャワーのみの生活が続いている場合は
湯船への入浴を
週数回取り入れることを
推奨します。
水分補給の習慣化
暑熱順化が進むと
発汗量が増加します。
1日1.5〜2リットルの
水分摂取を意識することが
重要です。
なお利尿薬・降圧薬を
服用中の方は
脱水・電解質異常への
注意が特に必要です。
体調変化がある場合は
速やかに医師・薬剤師に
相談してください。
今日からできること
今日から
じんわり汗をかく習慣を
一つ取り入れてください。
暖かい時間帯の15分散歩、
またはシャワーを湯船に変える。
この小さな習慣を
2週間続けることで
体は暑さへの準備を
整え始めます。
真夏に体が悲鳴を上げる前に
今この時期から
汗をかける体をつくっておく。
それがこれからの季節を
健康に乗り越えるための
現実的なアプローチです。
熱中症予防・体温調節についてご不明な点は
お気軽にご相談ください。
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北川 俊一(薬剤師 / スポーツファーマシスト)
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