■ はじめに
脂質異常症(高コレステロール血症)に対して
スタチン系薬剤を服用されている方は
非常に多くいらっしゃいます。
アトルバスタチン・ロスバスタチン・
ピタバスタチンなど、
現在は多くの選択肢が存在します。
適切に服用することで、
LDLコレステロール値を効果的に管理し
動脈硬化・心血管疾患のリスクを
低減できる有効な治療手段です。
ただし、薬の作用機序を正しく理解した上で
食事療法と組み合わせることが重要です。
■ スタチン系薬剤の作用機序
スタチン系薬剤はHMG-CoA還元酵素を阻害し、
肝臓でのコレステロール合成を抑制します。
その結果、血中LDLコレステロール値が低下し、
血管壁へのコレステロール蓄積が
抑えられます。
あくまで「肝臓での合成を抑える」機序であり、
食事から摂取されるコレステロールや
飽和脂肪酸の量を直接コントロールする
薬理作用は持ちません。
■ 脂質異常症の病態と薬の限界
LDLコレステロールが高くなる要因は
大きく2つあります。
一つは遺伝的要因による
肝臓でのコレステロール産生過多。
もう一つは食事からの
飽和脂肪酸・トランス脂肪酸の過剰摂取です。
スタチンは前者への介入には非常に有効ですが、
後者——食事内容そのものへの介入は
患者さん自身の選択にかかっています。
揚げ物・動物性脂肪の多い食事が続く場合、
薬を服用していても
LDL値の安定化が難しくなるケースが
臨床現場でも見られます。
■ 生活習慣の介入ポイント
薬と並行して取り入れてほしいのが、
食事内容の小さな見直しです。
【一食の置き換え】
揚げ物→焼き物・蒸し物への変更。
動物性脂肪→不飽和脂肪酸を含む
青魚・オリーブオイルへの置き換え。
一日三食すべてを変える必要はありません。
今日一食だけ、揚げ物を別のものに変える。
この小さな選択の積み重ねが
薬の効果をより引き出します。
加えて、食物繊維(野菜・豆類・海藻)の摂取増加も
腸管でのコレステロール吸収抑制に
有効な介入として挙げられます。
■ まとめ
スタチン系薬剤は脂質異常症の管理において
有効な選択肢の一つです。
ただし、薬の作用は肝臓での
コレステロール合成抑制にとどまります。
食事からの脂質摂取という要因への介入は、
生活習慣の改善と組み合わせて
初めて完結します。
薬で数値を整えながら、
食事でもう一歩サポートすること。
それが、脂質異常症と長く付き合う上での
現実的なアプローチです。
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北川 俊一(薬剤師 / スポーツファーマシスト)
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