2026/03/25

花粉症と口呼吸——鼻のフィルター機能と 感染リスクの関係

 

■ はじめに

花粉症(アレルギー性鼻炎)の症状として
鼻閉(鼻づまり)が強く出る患者さんは
非常に多くいらっしゃいます。

鼻閉が続くと必然的に口呼吸が増加しますが、
これが感染症リスクの上昇と
密接に関連していることは
臨床現場でも重要な観点です。

■ 鼻のフィルター機能(鼻腔の生理的役割)

鼻腔は単なる空気の通り道ではなく、
以下の3つの重要な機能を持っています。

①加湿・加温
吸気を体温に近い温度・湿度に調整し、
気道粘膜への負担を軽減します。

②フィルタリング
鼻毛・鼻腔粘膜の線毛運動により
空気中のウイルス・細菌・異物を
捕捉・排除します。

③免疫応答
鼻腔粘膜にはIgA抗体が豊富に存在し、
病原体への第一次免疫応答を担います。

花粉症による鼻閉でこれらの機能が
損なわれると、口呼吸への移行が起こります。

■ 口呼吸がもたらすリスク

口腔にはフィルタリング機能がなく、
ウイルス・細菌が直接咽頭・気管に
到達しやすくなります。

さらに口呼吸による口腔乾燥は
咽頭粘膜のバリア機能を低下させ、
病原体の侵入をさらに容易にします。

花粉症の季節に感冒(風邪)の罹患率が
上昇するケースがあるのは、
この鼻腔フィルター機能の喪失と
口腔乾燥による粘膜バリアの低下が
複合的に作用しているためと考えられます。

■ 薬学的介入と生活習慣の組み合わせ

【花粉症治療薬の継続使用】
第二世代抗ヒスタミン薬・鼻噴霧用
ステロイド薬などによる適切な治療で
鼻閉を改善し鼻呼吸を維持することが
感染リスク低減の第一優先です。

症状が軽減しても自己判断で
服薬を中断すると鼻閉が再燃し
口呼吸に戻るリスクがあります。
花粉飛散期間中は継続使用が重要です。

【口腔乾燥への対策】
口呼吸が避けられない状況では
のど飴・トローチの活用により
口腔・咽頭粘膜の湿潤を保つことが
有効な補助手段となります。

殺菌成分配合のものは
咽頭での一次的な抗菌作用も期待できます。

■ まとめ

花粉症治療は症状緩和だけでなく、
鼻腔のフィルター機能を維持することで
感染症予防にも直結します。

抗アレルギー薬による鼻閉の改善と
口腔乾燥への対策を組み合わせること。
それが、花粉症の季節を
健康に乗り越えるための現実的なアプローチです。

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北川 俊一(薬剤師 / スポーツファーマシスト)
Well Lab — well-lab-kitagawa.net

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