2026/04/02

冷え性と血流改善—— 薬の役割と、生活でできること

■ はじめに

冷え性(末梢循環不全)は
女性を中心に非常に多くの方が
悩まれている症状です。

漢方薬(当帰芍薬散・温経湯・
桂枝茯苓丸など)や
血行促進作用を持つ
ビタミンE製剤などが
治療の選択肢として用いられます。

適切に使用することで
体質的な冷えを改善する
有効な手段の一つです。
ただし、薬の作用機序を理解した上で
運動療法と組み合わせることが
根本的な改善には重要です。

■ 冷え性の病態

末梢冷感(冷え性)の主な機序は
末梢血管の血流低下です。

体は深部体温を優先的に維持するため
末梢血管を収縮させ
四肢末端への血流を制限します。

加えてデスクワーク・長時間立位など
同一姿勢の継続により
下腿三頭筋(ふくらはぎ)の
筋ポンプ機能が低下すると
静脈還流が滞り
末梢の血流がさらに減少します。

女性は男性と比較して
筋肉量が少ない傾向があるため
この筋ポンプ機能が低下しやすく
冷え性が生じやすいとされています。

■ 冷え性治療薬の作用機序と限界

漢方薬(当帰芍薬散等)は
血行促進・水分代謝改善・
ホルモンバランスの調整を通じて
冷え性の体質改善に働きかけます。

ビタミンE製剤は
末梢血管拡張作用により
血流改善をサポートします。

ただし、いずれも
筋肉の収縮・弛緩による
物理的な血液の駆出——
いわゆる筋ポンプ作用を
代替する薬理作用は持ちません。

末梢への血流を能動的に増加させるためには
筋肉を動かすことが不可欠です。

■ 生活習慣の介入ポイント

薬と並行して取り入れてほしいのが
足首運動による筋ポンプ機能の活性化です。

【足首回し・足首運動】
足首を右回し・左回しそれぞれ10回。

この動作により下腿三頭筋が
収縮・弛緩を繰り返し
静脈血が心臓方向へ押し上げられます。
同時に動脈血が末梢へ流れ込み
足先の温度上昇が期待できます。

座位・臥位でも実施可能なため
デスクワーク中・就寝前など
生活のあらゆる場面で取り入れられます。

加えて以下の介入も有効です。

・入浴(38〜40℃・10〜15分)による
末梢血管拡張の促進
・温かい飲み物による
体幹部からの加温
・ウォーキング等の有酸素運動による
筋ポンプ機能の強化

■ まとめ

冷え性治療薬は末梢循環を改善する
有効な選択肢の一つです。

ただし、薬の作用だけでは
筋ポンプ機能の低下という
物理的な要因への介入には限界があります。

薬で体の内側から整えながら、
足首運動で血流を末梢まで届けること。
それが、冷え性を根本から改善する
現実的なアプローチです。

冷え性でお悩みの方、
漢方薬の選択でご不明な点がある方は
お気軽にご相談ください。

───
北川 俊一(薬剤師 / スポーツファーマシスト)
Well Lab — well-lab-kitagawa.net

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