2026/04/07

降圧薬と食塩制限—— 薬の役割と、生活でできること

■ はじめに

高血圧に対して降圧薬を
服用されている方は非常に多く
いらっしゃいます。
Ca拮抗薬・ARB・ACE阻害薬・
利尿薬など、
病態に応じた選択肢が存在します。

適切に服用することで
血圧をコントロールし
脳卒中・心筋梗塞・腎障害など
高血圧による臓器障害リスクを
低減できる有効な治療手段です。

ただし、降圧薬の効果を最大化するためには
食塩制限との組み合わせが
不可欠です。

■ 降圧薬の作用機序

Ca拮抗薬は血管平滑筋の
カルシウムチャネルをブロックし
末梢血管抵抗を低下させます。

ARB・ACE阻害薬は
レニン・アンジオテンシン系を
抑制することで
血管収縮・アルドステロン分泌を
抑え降圧します。

利尿薬は腎臓での
ナトリウム・水の再吸収を抑制し
循環血液量を減少させます。

いずれも「血圧を下げる」機序であり、
食事からの塩分摂取量を
直接コントロールする
薬理作用は持ちません。

■ 食塩と血圧の関係

食塩(塩化ナトリウム)を過剰摂取すると
血漿浸透圧が上昇します。
これを是正するために
体は水分を保持しようとし
循環血液量が増加します。

循環血液量の増加は
心拍出量を増大させ
血圧上昇につながります。

また高ナトリウム状態では
血管壁の感受性が変化し
血管収縮が起きやすくなります。

降圧薬で血圧を下げても
塩分摂取量が多い状態が続くと
薬の効果が減弱し
血圧が安定しにくくなります。

日本人の平均塩分摂取量は
1日約10gとされており
日本高血圧学会の目標値
(6g未満)を大きく上回っています。

■ 食塩制限の介入ポイント

降圧薬と並行して
取り入れてほしいのが
段階的な食塩制限です。

【汁物を半分残す】
汁物は塩分の主要な摂取源の一つです。

・味噌汁1杯:約1.2g
・ラーメンスープ全量:約5〜6g
・うどんつゆ全量:約3〜4g

汁物を半分残すだけで
一食の塩分摂取量を
大幅に削減できます。

料理の味付けを変える必要はありません。
まず汁物を残すことから
始めることを推奨します。

加えて以下の介入も有効です。

・醤油・ソースは
かけるのではなくつける
・漬物・梅干しの量を減らす
・加工食品・インスタント食品の
摂取頻度を下げる
・カリウムを多く含む食品
(野菜・果物・芋類)の摂取増加
(カリウムはナトリウムの
排泄を促進する)

■ まとめ

降圧薬は高血圧の管理において
有効な選択肢の一つです。

ただし、薬の作用は
血圧のコントロールにとどまります。
塩分摂取という根本的な要因への介入は、
食事の改善と組み合わせて
初めて完結します。

降圧薬で血圧を整えながら、
汁物を半分残すことから
塩分制限を始めること。
それが、血圧を安定させる
現実的なアプローチです。

血圧管理・服薬についてご不明な点がある方は
お気軽にご相談ください。

───
北川 俊一(薬剤師 / スポーツファーマシスト)
Well Lab — well-lab-kitagawa.net

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