体重と体脂肪率——
体重だけを指標にすることの限界と
体組成管理の重要性
悩み:体重の数字に振り回されている
「体重が増えた・減った」に
一喜一憂している方が
非常に多くいらっしゃいます。
体重は重要な指標ですが
単独で体の状態を
判断するには
不十分な指標です。
体重より重要なのが
体脂肪率と筋肉量という
体組成の概念です。
同じ体重でも
筋肉がある体とない体では
見た目・健康・
健康寿命が
全く異なります。
現場と自分の経験から
薬局での服薬指導の場面でも
「ダイエットしているのに
体重が変わらない」という
相談をよく受けます。
詳しく伺うと
食事制限はしているが
運動・特に筋力トレーニングは
していないケースが
ほとんどです。
この場合
体重が変わらなくても
体組成は改善している
可能性があります。
競技ボディビルに取り組む中で
体重・体脂肪率の両方を
継続的に管理してきた
経験から言えます。
体重だけを見ていた時期は
数字に振り回されていました。
体組成を意識するようになってから
自分の体の変化を
客観的に把握できるように
なりました。
体重という指標の限界
体重は以下の要因で
容易に変動します。
水分摂取量
1リットルの水を飲めば
体重は1kg増加します。
食事内容・タイミング
塩分の多い食事の翌日は
水分貯留により
体重が増加します。
筋肉の微細損傷
筋力トレーニング翌日は
筋肉の微細損傷による
炎症・浮腫で
一時的に体重が
増加することがあります。
ホルモン周期
女性は生理前後の
ホルモン変動により
体重が変動します。
これらの変動は
体脂肪量の変化とは
無関係です。
体重の日々の変動に
一喜一憂することは
体の本質的な変化を
見誤るリスクがあります。
体脂肪率の重要性
体脂肪率とは
体重に占める
脂肪の割合です。
以下はACE
(米国エクササイズ協議会)の
分類基準です。
女性
必須脂肪:10〜13%
アスリート:14〜20%
フィットネス:21〜24%
標準:25〜31%
肥満:32%以上
男性
必須脂肪:2〜5%
アスリート:6〜13%
フィットネス:14〜17%
標準:18〜24%
肥満:25%以上
なおInBodyなど
機器メーカーによって
基準値が若干異なります。
(InBody日本向け基準では
男性10〜20%・女性18〜28%)
参照する基準を
統一した上で
継続的に変化を
見ていくことが重要です。
体重が標準範囲内でも
体脂肪率が高い状態を
「隠れ肥満
(スキニーファット)」と
呼びます。
見た目は標準体型でも
筋肉が少なく
脂肪が多い状態であり
代謝異常・
生活習慣病リスクが
高いことが
研究で示されています。
筋肉量・筋力と健康寿命の関係
筋肉量が多いことが
健康寿命に関連することは
複数の研究で
示されています。
ただし最新の研究では
筋肉量そのものより
筋力(握力などで測定)の方が
死亡率・健康寿命との
相関が強いという
結果も出ています。
久山町研究など
複数の大規模研究で
握力の低下が
全死亡率・
心血管疾患リスクと
関連することが
報告されています。
「体重を減らすこと」より
「動ける体・
力のある体をつくること」が
長期的な健康寿命に
直結します。
体組成の視点から見ると
筋肉量の維持・増加と
それに伴う筋力向上が
健康寿命を守る
重要な要素です。
脂肪と筋肉の密度の違い
脂肪の密度:約0.9 g/cm³
筋肉の密度:約1.06 g/cm³
筋肉は脂肪より
密度が高く
同じ重量でも
体積が小さいです。
そのため
筋肉量が増え
脂肪が減ると
体重が変わらなくても
見た目が引き締まります。
「体重は変わっていないのに
見た目が変わった」の
科学的な理由がこれです。
体組成計の使い方と注意点
家庭用の体組成計は
生体インピーダンス法を
使用しています。
体内の水分量・
食後・運動後・
入浴後などの
測定条件によって
同じ人でも
1〜3%程度変動します。
正確な傾向を把握するために
以下を推奨します。
毎朝同じ条件
(起床後・排泄後・食事前)で測定する。
1日単位の変動より
週・月単位の傾向を見る。
同じ機器・
同じ条件で
継続的に測定することで
傾向の把握が
可能になります。
まとめ
体重は体の状態を
把握するための
一つの指標に過ぎません。
体脂肪率・筋肉量・
筋力という体組成の視点を
加えることで
本質的な体の変化が
見えてきます。
同じ体重でも
筋肉がある体とない体では
見た目・健康・健康寿命が
全く異なります。
体重の数字に
一喜一憂するのではなく
体組成という
本質的な指標を
見てください。
体組成管理・運動習慣についてご不明な点は
お気軽にご相談ください。
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北川 俊一(薬剤師 / スポーツファーマシスト)
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