2026/06/14

「寝ても疲れが取れない」は普通じゃありません| 薬剤師が教える、日本人の睡眠が世界最短である理由と今夜からできること

睡眠と健康——
薬剤師が伝える、睡眠改善が
最もコスパの高い健康投資である理由

はじめに

「寝ても疲れが取れない」
「日中の眠気が抜けない」

こうした訴えは
薬局での服薬指導の場面でも
非常によく聞きます。

多くの方が
「自分の睡眠はこんなもの」と
諦めているケースが
見られます。

しかし睡眠は
適切なアプローチで
改善できるものです。

そして睡眠改善は
食事・運動と並ぶ
健康の三本柱の中で
費用対効果の高い
介入であることが
データで示されています。

日本人の睡眠環境の特殊性

日本は
睡眠不調を招きやすい
環境的要因が
複数存在します。

世界最短の睡眠時間

日本人の平均睡眠時間は
4年連続で世界最短と
報告されています。

ResMed 2025年調査では
6.56時間、
IKEAの調査では
6時間10分という
データが出ています。

世界一の座位時間

シドニー大学の研究
(世界20か国・22万人対象)で
日本人の平日座位時間は
約420分(7時間)で
世界最長と確認されています。

身体活動量の低下は
睡眠圧の蓄積を
妨げる要因となります。

光環境

夜間の街灯・
コンビニエンスストア・
飲食店の強い光が
都市部に溢れています。

家庭内の照明も
欧米と比較して
睡眠に不利な
光量に設定されがちです。

夜間の過剰な光曝露は
メラトニン分泌を
抑制し
体内時計のリズムを
乱す要因となります。

「眠れない」のは
意志や体質の問題だけでなく
こうした環境的要因が
大きく関与しています。

睡眠改善の費用対効果

経済産業省の
健康経営に関するデータによると
プレゼンティズム
(出勤しているが体調不良で
パフォーマンスが低下している状態)の
改善という観点では
睡眠改善の効果が
食事・運動改善と比べて
10倍近く高いと
示されています。

これは特定の企業での
プレゼンティズム改善量の
比較データであり
健康投資全般を
比較した普遍的なデータでは
ありませんが
職場での生産性という
視点では睡眠改善が
突出した効果を
持つことが示されています。

食事改善は
質の高い食材の
調達コストがかかります。

運動も
施設利用料・
道具代がかかる
ケースがあります。

一方で睡眠改善は
高価な寝具が
必須ではありません。

光環境・睡眠習慣・
考え方のアプローチで
改善できる部分が
大きいです。

薬以外の睡眠改善アプローチ

日本では
睡眠に問題を抱えると
睡眠薬が
主な選択肢として
提示されることが
多い現状があります。

睡眠薬は
必要なときは
有効な手段です。

しかし薬物療法以外に
睡眠改善に有効な
アプローチとして
認知行動療法(CBT-I)が
国際的に確立されています。

京都大学・東京大学等の
研究グループによる
系統的レビュー・
ネットワークメタ解析
(2024年)でも
CBT-Iの有効性が確認されており
各国のガイドラインで
不眠症の第一選択治療として
位置づけられています。

ただし重要な補足として
最新の研究では
「睡眠衛生指導単独」や
「リラクゼーション単独」は
有効性が十分に
示されていないことも
報告されています。

認知行動療法は
正しく学んで
実践することが
効果につながります。

薬を使いながら
認知行動療法的な
アプローチを
同時に取り入れることが
根本的な睡眠改善に
つながります。

睡眠改善が体に与える影響

睡眠の質が改善すると
以下の変化が
起きやすくなります。

認知機能・パフォーマンス
集中力・判断力・
記憶力の改善。

免疫機能
睡眠中の免疫細胞の
活性化促進。

代謝機能
インスリン感受性の改善・
体重管理への寄与。

筋肉・体の回復
入眠後60〜90分の
最初の深いノンレム睡眠時に
成長ホルモンの
1日分泌量の70〜80%が
集中して分泌されます。

この時間帯の
深い睡眠が
筋肉・細胞の修復を
促進します。

メンタルヘルス
セロトニン・
ドーパミンの分泌調節を通じた
気分の安定。

睡眠は
食事・運動と並んで
健康の根幹を支える
要素です。

睡眠改善の最初のステップ

睡眠改善において
最初に重要なのは
「自分の睡眠の状態を
正確に知ること」です。

主観的な評価
睡眠の質・
眠れた感覚・
日中の眠気などの
自覚症状を記録します。

客観的な評価
スマートウォッチ・
睡眠アプリなどで
睡眠時間・
睡眠の深さ・
中途覚醒を記録します。

ただしウェアラブルデバイスの
精度には限界があり
測定条件によって
数値が変動します。

傾向を把握するための
参考指標として
活用することを
推奨します。

この両方を組み合わせて
現状を把握することが
効果的な改善の
出発点です。

今日からできること

まず今夜から
以下の2つを
試してみてください。

就寝1時間前に
スマートフォン・
テレビの使用を控える。
ブルーライトによる
メラトニン分泌抑制を
防ぎます。

寝室の照明を暗くする。
光環境を整えることで
体が眠る準備を
始めやすくなります。

睡眠は
頑張って眠るものではなく
眠れる環境と習慣を
整えるものです。

睡眠・生活習慣についてご不明な点は
お気軽にご相談ください。

───
北川 俊一(薬剤師 / スポーツファーマシスト)
Well Lab — well-lab-kitagawa.net

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