睡眠計測の種類と精度——
主観・客観テストを組み合わせた
自分の睡眠の正確な把握法
はじめに
「なんとなく眠れていない気がする」
この「気がする」を
正確に把握することが
睡眠改善の出発点です。
睡眠を把握する方法には
主観的計測と
客観的計測の2種類があります。
それぞれの特徴・精度・
使い分けを理解することで
自分の睡眠の実態を
正確に把握できます。
主観的睡眠計測
定義
個人の感覚・自覚に基づいた
睡眠評価の方法です。
長所と短所
長所
7〜8問程度の質問で
すぐに実施できます。
本人の感覚は
睡眠の質を評価する上で
重要な指標です。
短所
本人の自覚と
実際の睡眠状態が
ズレていることがあります。
過大評価・過小評価により
自覚のない睡眠障害が
見落とされやすいです。
主な主観的テスト
睡眠休養感(1問)
「睡眠で十分休養が
取れていますか?」
という1問のみの
シンプルなテストです。
この1問が
死亡率など多くの
健康指標と関連しており
重要な指標とされています。
厚生労働省は
休養が取れていない人の割合を
15%以下にすることを
目標としていましたが
平成21年のベースライン値18.4%から
平成30年には21.7%へと
悪化し
「D評価(悪化)」と
公式に評価されています。
アテネ不眠尺度
(AIS:Athens Insomnia Scale)
8つの質問・
1問あたり0〜3点・
最大24点満点で構成される
不眠症スクリーニングの
国際基準テストです。
6点以上で
不眠症の疑いありとされます。
まず試してほしい
最初のテストとして
推奨されています。
エプワース眠気尺度
(ESS:Epworth Sleepiness Scale)
8つの質問で
日中の眠気を測定します。
11点以上が
睡眠時無呼吸症候群の
スクリーニングの目安です。
日中の強い眠気が
ある方に特に有用です。
ピッツバーグ睡眠質問票
(PSQI)
19の質問から構成され
睡眠効率など
多面的な観点から
睡眠を評価します。
最も詳細に睡眠を
把握できるテストですが
質問数が多く
解釈に専門知識が
必要な側面があります。
不眠症重症度指標
(ISI)
7つの質問で
不眠の重症度を
定量化するテストです。
CBT-I(不眠症に対する
認知行動療法)の
効果測定に
よく使われます。
客観的睡眠計測
定義
機器を使用して
睡眠を数値で計測する
方法です。
長所と短所
長所
本人の自覚に依存せず
客観的に計測できます。
自覚のない睡眠障害を
発見できます。
数値で変化を
追跡できます。
短所
PSG検査は
入院が必要で高額です。
ウェアラブルデバイスは
測定項目によって
精度にばらつきがあります。
データだけでは
本人が感じる「つらさ」が
わかりません。
主な客観的計測方法
PSG検査
(ポリソムノグラフィー)
睡眠検査の
ゴールドスタンダードです。
病院に宿泊し
脳波・眼球運動・
筋電図・
血中酸素飽和度など
多数のセンサーで
詳細に計測します。
最も精度が高い方法ですが
費用は医療機関・
検査内容により異なり
保険適用でも
1〜8万円程度と
幅があります。
結果判明まで
1週間以上かかる
ケースもあります。
簡易PSG検査
自宅で実施できる
簡易版の検査です。
エプワース眠気尺度で
11点以上の方が
睡眠時無呼吸の有無を
確認するために
行うことが多いです。
病院で保険適用
3,000円程度で
機器を借りられます。
無呼吸低呼吸指数(AHI)が
20以上だと
保険適用でCPAP療法が
受けられます。
ウェアラブルデバイス
指輪型(Ouraリングなど)・
ウォッチ型・
パジャマ型など
様々な種類があります。
一般的に
指輪型の方が
精度が高いとされています。
精度について正確に言うと
睡眠・覚醒の二値判定では
比較的高い精度が
確認されていますが
睡眠段階(深い眠り・REMなど)の
分類精度は
デバイスや測定項目によって
異なり限定的です。
また総睡眠時間を
実際より長めに
評価する傾向があることも
報告されています。
測定項目・デバイスによって
精度にばらつきがある点を
理解した上で
傾向を把握するための
参考指標として
活用することを
推奨します。
主観と客観の組み合わせが重要
主観的計測と
客観的計測は
それぞれ単独では
不完全です。
機器のデータが良くても
本人が「しんどい・
疲れが取れない」と
感じている場合は
その感覚が重要です。
逆に「眠れていない気がする」でも
客観データが安定していれば
不安を和らげる
根拠になります。
主観(感覚)と
客観(データ)を
組み合わせることで
初めて自分の睡眠の
実態が見えてきます。
推奨される実践アプローチ
まず試してほしいこと
アテネ不眠尺度(AIS)を
実施してください。
検索すれば無料で
試すことができます。
8つの質問で
自身の睡眠レベルを
把握することが
最初のステップとして
推奨されています。
6点以上だった場合は
睡眠改善を
真剣に取り入れることを
推奨します。
次のステップ
日中の眠気が強い場合は
エプワース眠気尺度(ESS)も
試してみてください。
11点以上の場合は
睡眠時無呼吸症候群の
可能性があるため
医療機関への受診を
推奨します。
無理のない範囲で
ウェアラブルデバイスを
試してみることも
有益ですが
精度の限界を
理解した上で
傾向把握の参考として
活用してください。
まとめ
自分の睡眠を正確に知ることが
睡眠改善の出発点です。
主観的テスト(AIS等)で
感覚を数値化し
必要に応じて
客観的計測を加える。
この組み合わせで
自分の睡眠の実態が
見えてきます。
睡眠・体調管理についてご不明な点は
お気軽にご相談ください。
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北川 俊一(薬剤師 / スポーツファーマシスト)
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