2026/07/27

BMI・腹囲——体型が示す、内側のリスクを正しく理解する 【健康診断を読み解くシリーズ・第2回】

 

はじめに

「体重は気にしているけど、BMIってどう計算するの?」「腹囲を測るのはなぜ?」。健康診断で毎年記録されるBMIと腹囲ですが、何のために測定しているのかを正確に理解している方は少ないかもしれません。

第2回は「BMI・腹囲」という検査項目を、薬剤師の視点から読み解きます。

この項目は何を見ている?

BMI(Body Mass Index)は、体重と身長から算出される肥満度の指標です。計算式は「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」です。たとえば体重65kg・身長170cmの方であれば、65÷1.70÷1.70=約22.5となります。

腹囲(ウエスト周囲径)は、おへその高さでお腹まわりを測定したものです。BMIが体全体の肥満度を示すのに対して、腹囲は「内臓脂肪の蓄積」をより直接的に反映する指標です。

なぜBMIだけでなく腹囲も測るのかというと、同じ体重・BMIでも脂肪の蓄積部位によって健康リスクが異なるからです。皮膚の下につく皮下脂肪より、内臓のまわりにつく内臓脂肪の方が、血糖値・血圧・脂質への影響が大きいとされています。この点が、腹囲測定の重要な理由です。

基準値は?

BMIの分類(日本肥満学会)は以下の通りです。

– 18.5未満:低体重(やせ)
– 18.5〜25未満:普通体重
– 25〜30未満:肥満(1度)
– 30〜35未満:肥満(2度)
– 35〜40未満:肥満(3度)
– 40以上:肥満(4度)

BMI22が統計的に最も疾病リスクが低いとされており、「標準体重」の目安となっています。標準体重は「身長(m)×身長(m)×22」で計算できます。

腹囲の基準(メタボリックシンドロームの診断基準)は、男性85cm以上・女性90cm以上が内臓脂肪蓄積の目安とされています。この基準を超えると、血圧・血糖・脂質の異常が重なりやすくなります。

ただしBMIには注意点があります。筋肉は脂肪より重いため、筋肉量が多い方ではBMIが高く出ることがあります。数値だけで肥満かどうかを断定するのではなく、腹囲や体組成と合わせた総合的な評価が重要です。

高い(低い)と何が考えられる?

BMIが高い(25以上)場合

体脂肪が過剰に蓄積している可能性があります。特に内臓脂肪が多い場合は、高血圧・糖尿病・脂質異常症・心血管疾患のリスクが高まります。ただし筋肉量が多いために数値が高い場合もあるため、腹囲や体組成と合わせた評価が必要です。

BMIが低い(18.5未満)場合

栄養不足・筋肉量の低下が懸念されます。「やせているから健康」とは言い切れません。特に高齢者では低BMIがサルコペニア・フレイルのリスクと関連することが知られており、低体重も重要な健康上のサインです。

腹囲が基準を超えている場合

内臓脂肪が蓄積している可能性が高く、血糖値・血圧・脂質の異常を伴うリスクが高まります。BMIが標準範囲内でも腹囲が大きい方は「隠れ肥満」として注意が必要です。

関係する病気

BMI・腹囲と深く関わる病気として以下が挙げられます。

メタボリックシンドローム
内臓脂肪蓄積に加えて、血圧・血糖・脂質の異常のうち2つ以上が重なった状態です。心血管疾患のリスクが大幅に高まります。

生活習慣病全般
高血圧・2型糖尿病・脂質異常症はいずれもBMI・腹囲との関連が深く、病気を知る【生活習慣病編】第1〜3回で解説した疾患と直接つながります。

睡眠時無呼吸症候群
肥満が首回りの脂肪増加につながり、気道が狭くなることで発症します。睡眠の質低下・昼間の眠気・心血管リスクとも関連します。

変形性膝関節症・腰痛
体重増加が膝・腰への物理的な負担を増やし、関節の変形・痛みにつながります。

骨粗しょう症・サルコペニア・フレイル
低BMIとの関連が知られています。病気を知る【生活習慣病編】第6回・健康寿命シリーズとのつながりもあります。

よくある誤解

❌「BMIが標準範囲内だから、メタボの心配はない」

✅ BMIが標準でも、腹囲が大きければ内臓脂肪リスクがあります

「BMIが25未満だから大丈夫」と思っている方が多くいます。しかし内臓脂肪の蓄積は体重に必ずしも反映されません。全体の体重は標準範囲内でも、腹囲が基準を超えている「隠れ肥満」の状態では高血圧・血糖異常・脂質異常のリスクが高まります。BMIと腹囲の両方を確認することが重要です。

薬剤師からのポイント

肥満に関連する薬として、抗精神病薬・抗うつ薬・ステロイド薬・一部の糖尿病治療薬などは体重増加の副作用が知られています。薬の影響で体重が増えているケースがあるため、服薬後から体重が増えてきたと感じる場合は服薬との関係を念頭に置き、処方医に相談することが大切です。

一方、体重管理は「見た目」の問題だけでなく、血圧・血糖・脂質といった検査数値に直接影響します。体重の5〜10%の減少だけでも、これらの数値が改善するというエビデンスがあります。極端なダイエットより、無理なく継続できる食事・運動・睡眠という生活習慣の見直しが重要です。

BMIや腹囲の数値を見て「どうすべきか」と迷った場合は、自己判断だけでなく医療機関に相談することをお勧めします。

今日のまとめ

– BMIは体重と身長から算出する肥満度の指標。日本ではBMI25以上が肥満の目安
– BMI22が疾病リスクが最も低い「標準体重」の目安
– 腹囲は内臓脂肪の蓄積を直接反映する指標(男性85cm以上・女性90cm以上が目安)
– BMIが標準でも腹囲が大きい「隠れ肥満」では生活習慣病リスクが高まる
– BMIが低すぎる場合もサルコペニア・フレイルとの関連があり、注意が必要
– 一部の薬が体重増加の副作用を持つため、急激な変化があれば服薬との関係を確認する

健康診断は、病気を見つけるためだけのものではありません。
自分の体の変化に気づき、健康寿命を守るための大切なヒントです。

Well Labでは、これからも薬剤師の視点で、健康寿命につながる知識をわかりやすくお届けしていきます。

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北川 俊一(薬剤師 / スポーツファーマシスト)
Well Lab — well-lab-kitagawa.net

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