■ はじめに
眼精疲労・疲れ目に対して
点眼薬を使用される方は
非常に多くいらっしゃいます。
ビタミンB12含有点眼薬・
人工涙液・ネオスチグミン含有点眼薬など、
症状に応じた選択肢が存在します。
適切に使用することで
目の表面の不快感を軽減する
有効な手段の一つです。
ただし、眼精疲労の病態を
正しく理解した上で
休息と組み合わせることが重要です。
■ 眼精疲労治療薬の作用機序
ビタミンB12含有点眼薬は
毛様体筋の調節機能をサポートし
疲労回復を促進します。
ネオスチグミン含有点眼薬は
毛様体筋の収縮を促進し
ピント調節機能の改善を図ります。
人工涙液は角膜・結膜表面に
潤いを補給し
乾燥による不快感を軽減します。
いずれも「目の表面・調節機能を
サポートする」機序であり、
毛様体筋に蓄積した疲労物質を
直接除去したり
筋疲労を根本的に回復させる
薬理作用は持ちません。
■ 眼精疲労の病態と点眼薬の限界
眼精疲労の主な病態は
毛様体筋の過緊張による
筋疲労です。
近距離作業・VDT作業が続くと
毛様体筋が持続的に収縮し
乳酸などの疲労物質が蓄積します。
この筋疲労は
骨格筋の疲労と同様に
休息によってのみ回復します。
点眼薬は毛様体筋の調節機能を
サポートする作用はありますが、
蓄積した筋疲労そのものを
解消する機序は持ちません。
眼精疲労が慢性化すると
毛様体筋の緊張が
首・肩の僧帽筋・肩甲挙筋へと
波及します。
これが緊張型頭痛・肩こり・
自律神経症状として
現れることが臨床現場でも
多く見られます。
点眼薬で表面の不快感を
和らげながらも
「まだ目が疲れている」と感じるのは
筋疲労への介入が
不十分であるためです。
■ 生活習慣の介入ポイント
点眼薬と並行して
取り入れてほしいのが
意識的な目の休息です。
【1分間の閉眼休息】
作業の合間に目を閉じ
1分間休息するだけで
毛様体筋の緊張が緩和されます。
光刺激がなくなることで
視神経・毛様体筋への負担が
軽減されます。
【温罨法(目の温め)】
40℃程度の温かいタオルを
閉じた目に当てることで
眼周囲の血流が促進され
毛様体筋の疲労回復が
加速されます。
10分程度の実施が推奨されます。
加えて以下の介入も有効です。
・20分ごとに20秒間の遠方視
(毛様体筋の弛緩促進)
・作業環境の照度調整
(画面輝度と周囲照度の差を減らす)
・就寝前のスマートフォン使用制限
(ブルーライトによる
睡眠の質低下を防ぐ)
■ まとめ
点眼薬は目の表面の不快感を
和らげる有効な選択肢の一つです。
ただし、薬の作用は
目の表面・調節機能のサポートに
とどまります。
毛様体筋の疲労という
根本的な病態への介入は、
休息と組み合わせて
初めて完結します。
点眼薬で目の表面を整えながら、
目を閉じて筋肉を休めること。
それが、眼精疲労を繰り返さない
現実的なアプローチです。
目の疲れでお悩みの方、
点眼薬の選択でご不明な点がある方は
お気軽にご相談ください。
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北川 俊一(薬剤師 / スポーツファーマシスト)
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